​グローバル供給網の現在地:旧正月明けの動静と欧州の冬が日本へ落とす影

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皆様、こんにちは。

今日も世界の物流という大きな川の流れを、最新のデータと共に丁寧に読み解いていきましょう。​

 

現在、世界のサプライチェーン(供給網:原材料の調達から消費者に届くまでの全プロセス)は、一つの大きな節目を迎えています。

アジア圏では旧正月(Lunar New Year)の休暇が明け、工場の稼働が再開されました。

 

一方、欧州では依然として厳しい冬の気象条件が物流の足止めをしています。

​これらの動きが、日本の私たちの食卓や製品価格にどのように響くのか、具体的に見ていきましょう。

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★ 海上・航空・陸上の最新データと世界の港​まずは、現在の輸送コストの目安となる指標から確認します。

 

◼️上海航運交易所(SSE)が発表した最新のSCFI(Shanghai Containerized Freight Rate Index:上海輸出コンテナ運賃指数)を参照すると、指数は1,305〜1,310ポイント前後で推移しています。

(参照元:https://www.sse.net.cn/index/singleIndex?indexCode=scfi)

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これは、2日前の2026年2月6日時点(1,310〜1,320ポイント)と比較すると、わずかに下落、あるいは横ばいの傾向にあります。

 

昨年末の「駆け込み需要」による一時的な上昇局面は完全に脱し、現在は安定期、あるいは調整局面に入っていると言えます。

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しかし、港の混雑状況は地域によって明暗が分かれています。

 

◼️上海港(中国)

休暇明けの貨物が集中し始めています。

過去数日のデータと比較しても、空コンテナの回収と実入りコンテナの搬入が活発化しており、今後2週間で一時的に船のスペースが埋まりやすくなる可能性があります。​ 

 

◼️ロサンゼルス港(米国)

荷役(にやく:貨物の積み下ろし)は比較的スムーズですが、米国内の旺盛な個人消費を背景に、コンテナヤード(保管場所)の密度は依然として高い状態が続いています。

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◼️ハンブルク港(ドイツ)

現在、最も注意が必要です。

2月6日の時点でもお伝えしましたが、厳しい寒波と凍結の影響により、ターミナルの稼働率が低下しています。

依然として接岸待ちの船が発生しており、欧州から日本へ向かう貨物には、1週間から最大2週間程度の遅延が発生し続ける可能性を考慮しておくのが賢明です。

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★日本市場への具体的な影響

食卓、製品価格、納期​世界で起きていることは、決して遠い国の話ではありません。​

 

 

◼️日本の食卓への響き

 

・欧州から輸入されるチーズ、ワイン、パスタといった食品の納期が不安定になっています。

 

特に冷蔵コンテナ(Reefer:温度管理が可能なコンテナ)の供給が欧州の港で停滞しており、店頭での一時的な品薄や、輸送コスト上昇分が価格に反映される可能性が考えられます。

 

 

・製品価格と「2024年問題」の現状

 

国内では「物流2024年問題」の開始から2年近くが経過しました。

 

ドライバーの労働規制が定着した一方で、港から内陸への国内輸送費は上昇を続けています。

 

さらに、150円台を推移する円相場の影響で、輸入原価そのものが押し上げられており、荷主の皆様にとっては厳しい状態が続いています。

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◼️今すぐできる対策(助言程度)

欧州・北米からの輸入を検討されている場合、通常のリードタイム(発注から納品までの期間)に**2週間程度のバッファ(余裕)**を持たせることを検討してみてはいかがでしょうか。

 

在庫確保を早めるか、緊急性の高いものは航空便(Air Freight)への切り替えを検討するのが一つの選択肢となる可能性がありますが、コストとのバランスを慎重に見極める必要があります。​

 

 

★サプライチェーンの現状分析と3ヶ月の変遷​ここで、上海航運交易所および過去のレポート(http://www.logistics-eye-report.website/)のデータを元に、直近の推移を比較してみましょう。

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◼️3ヶ月前(2025年11月)

米国の関税政策変更への警戒から「先行輸入」が爆発的に増え、SCFIは1,500ポイントを超えていました。

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・現在(2026年2月)

先行輸入が一段落し、3ヶ月前と比較して指数は約13%下落しました。

 

2月6日の記録と比較しても、需給バランスは落ち着きを見せていますが、欧州の港湾機能低下という物理的なボトルネック(障害)が依然として解消されていません。

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・3ヶ月後(2026年5月)の展望

春以降、アジア発の荷動きが活発化し、運賃は緩やかに上昇に転じる可能性があります。

 

ただし、世界的な金利高騰による消費抑制も続いており、かつてのパンデミック時のように運賃が数倍に跳ね上がる確実性は現時点では低いと推測されます。

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◼️物流の雑学

飛行機で運べない「意外なモノ」​航空便(Air Freight)は速くて便利ですが、何でも運べるわけではありません。

 

意外なところでは、大容量の「リチウムイオン電池」だけでなく、一部の「香水」や「マニキュア」も引火性液体として危険物扱いになります。

 

これらを急ぎで送りたい場合は、専用の梱包と申告が必要になり、コストも跳ね上がります。

 

物流の裏側では、安全のために細かなルールが守られているのです。

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◼️まとめと未来への視点

投資家の眼差し​物流の未来は、決して暗いものではありません。

 

現在、AIによる動静予測やデジタル通関(書類の電子化による手続きの簡素化)の導入が加速しています。

 

これにより、今回のような気象による遅延も、数日前から正確に予測し、回避ルートを自動提案できる時代が近づいています。

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投資家の視点に立つと、現在の運賃安定期は、物流企業の「真の実力」が試される時期です。

 

短期的な運賃高騰による利益に頼らず、デジタル化や環境規制(脱炭素)に対応できている企業こそが、長期的にはレジリエンス(回復力)の高い収益を生む可能性があると言えるでしょう。

 

過度な期待は禁物ですが、この構造的な変化を静かに見守ることが賢明かもしれません。​

 

 

【相互紹介セクション】

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